独身時代というものは、お金と時間が自由に使える時期であると、つくづくそう思う。
お洋服や装飾品、グルメにイベントetc. 当初は決して贅沢な生活ではないと思っていたが、結婚した今、振り返ると、随分と気ままに楽しくやっていたように思う。日常的な内容での支出や時間はもちろんだが、圧倒的に変わったのはなんといっても「海外旅行」。残念なことに、苗字が変わってからはまだ一度も日本を出ていない。パスポートの名前は未だに旧姓のままなのである。
海外旅行といえば、初めて訪れたのは小学生の時の家族旅行で香港に。学生時代に友達同士でシンガポールへ飛び、社会人になってからは、ロンドン、パリ、グアムにニューヨークと、人並み程度には海外旅行を楽しんでいるつもりだ。
寒がりで超冷え性である私の「海外旅行ヒストリー」は、比較的、あたたかい時期や南国系が多かったのだが、唯一、激寒だったのが“ニューヨーク”。時は2002年の大晦日、旅行のテーマは「カウントダウン!!」。31日のタイムズスクエアを目指し、29日頃に渡米したのである。
国際的大都市であるNYシティ。その街並みを映画のスクリーンでは見たことがあったものの、実際に足を踏み入れるのとでは大違い。一歩一歩、歩くたびに刺激的な感動に出会えるのだ。まず、ディスプレイのセンスが違う!「商品を飾る」といった“販売”という目的の枠を超えた演出なのだ。また、クリスマスは過ぎていたのだが、街中に飾りが残されていたイルミネーションも素晴らしかった。「白銀の街」という名のキャンバスに、斬新な装飾が美しく、時に楽しく描かれている。NYのストリートは、散歩するだけで“アート”な感覚に浸れ、右脳が刺激されてしまうのだ。
もちろん、せっかくのNY旅行。街並みだけを楽しんだわけではない。セントラルパークでは、謎の小動物(とても可愛い。リスかな?)が愛らしく動き回り、パークのスケート場はファミリーで賑わっている。せっかくなので、今にも壊れそうなメリーゴーランドに乗ってみると、日本の3倍ぐらいスピードが速くて、思わず笑ってしまったことが記憶に新しい。そして、パークに隣接しているカフェに入った。ここは、カフェエントランスの樹木すべてがブルーのもの凄く美しいイルミネーションで施された印象的な所。とても混雑していたので、ドリンクを飲みながら席待ちすることにしたのだが…。「たっ高くない?」。ドリンク1杯で食事ができちゃうようねプライスだったので、席待ちはキャンセル。ドリンク立ち飲みだけして、逃げるようにして店を後にしたのだ(恥)
パーク以外にも、MOMA美術館やチャイナタウン、セレクトショップや玩具屋など、いっちょまえに地下鉄を使ってアクティブに動いた。見ものだったのは、エンパイヤステートビルの夜景。よく、観光名所で「ガッカリ名所」と呼ばれるものがあるが、あそこの夜景は本物だった。エレベーターでぐんぐんあがっていく。ただでさえ物凄い寒いはずなのに、高所は寒さもすさまじい!!っが、そんな寒さを堪えてでも外に出る価値が、そこにはあった。オレンジに近い輝きに包まれたNYシティ。夜景というより、「光の世界」と言った方が似合うかもしれない。どんなに混雑していても、スケジュールが押していても、NYに行ったらここはチェックしなければもったいないスポットだ。
観光も楽しめたが、旅のメインイベントであるカウントダウンは大爆笑もの。31日のタイムズスクエアはいつかTVで見たとおりの光景で、前も後ろも頭上までもが人、人、人。しかも、「Happy new year」の瞬間って、近くの人に「キス」をするらしので、「キス=挨拶」の習慣の無い自分たちは、微妙に警戒気味。「2002」という文字の怪しげな眼鏡をかけて集い(※「00」の間から目が見えるようになっている仕組み)、そして、ついにその時はきた!「3・2・1…ハッピーニューイヤー!!」。遠めに見えるビッグアップル、深夜とは思えないまぶしい明るさ、周りではチューチューチューチューキスの嵐。そう、“周りでは”ね。キスを心配するだけ、自意識過剰というものだったのだ。なぜなら、私たちが「日本人」だったから?いや、国籍は関係ないかもしれない。怪しい眼鏡をかけた変な人には、普通キスはしないだろう…(笑)
海外旅行というキーワードから、過去の想い出に脱線してしまったが、話しを元に戻すと、「海外旅行」というものは、時間もお金も自由な独身時代が一番行かれやすいのかもしれない。その次が老後かな(体力があれば)。今、私は育児中でまだ1歳にも満たない赤ちゃん連れなので、時間的にも、都合的にも、金銭的にも、残念ながら当分、海外旅行には行かれそうもない。そう考えると、独身時代、行かれる時に日本脱出を試みておいて本当によかった。ちょっと言葉は古いが、“独身貴族”なうちに、ガンガン海外に攻めるのはオススメ!私はもう結婚して子どももいるので、“老後貴族”を目指して頑張っているところである。
ここで一句
「金と時間 ある時に行け THE★海外」